No many were interested.

”大切なのは、新しくてユニークな事を見つけ出すこと。そしてその中の問題を見つけ出し、開拓していくこと。その時代の科学のメインではなくても、自分が面白いと思ったなら続けることだ。”

Dr. Avram Hershkoのセミナーを聴いてきた。セミナーの案内が来るまで知らなかったが、彼は2004年のノーベル化学賞受賞者だそうだ。ユビキチンを介したタンパク質分解システムは、真核生物の様々な制御に関わっていることが知られていて、癌や免疫との関わりも盛んに研究されている。今年に入って知ったことだが、植物の光形態形成にもユビキチンープロテアソームシステムによる制御が必要であるらしい。動物、植物問わず存在する共通の制御システムの研究の礎を築いたことは、本当にすごいことだと思う。

↑は、そんな”すごい人”のお言葉。今日のセミナーは、最新のデータのお披露目ではなく彼の研究の歴史が主だったのだが、彼がユビキチンの研究を始めようと思った理由の一つに”No many were interested.”とあったのに、思わず笑ってしまった。

他の人たちがあまり興味を持っていないことを研究するのは、確かに競争にならないから都合がいい。自分のペースで、じっくりと練ることができる。が、そういう研究は”意味が無い””つまんない”と言われることが多々ある。そんな研究やったら日本で研究費をとってくるのは・・・まぁ無理やろな。あるいは彼も、少ない研究費をなんとかやりくりして、ここまでたどり着いたのかも。いずれにしても、自分の興味を35年もの間貫く姿勢は素晴らしいものだと感じる。

”今自分の進めている研究、本当にこのままでいいのか?”と思うことはちょくちょくある。特に、NatureやらScienceやらCellやらに掲載されたいい仕事を見た時とか。が、今日はその問いに対する一つの答えをもらったように思う。明日からもがんばろーっと。