抗体を作るということ

うちのラボでは、習慣的に抗体を作っている。biochemistryを中心に研究を進めるラボにとっては、抗体は必須のアイテムとも言える。全行程を業者に依頼するとお金もかかるし力価の高い抗体ができるとは限らないので、今のうちのラボでは抗原の作製は業者にお願いし、それをウサギに打ったり採血したりというのを自分たちでやるのが主流だ。



ウサギ2羽のうち、1羽を処分しなくてはならなくなった。boosting 3回めで、力価が上がるどころか下がったため。抗原にも限りがあるので、力価が上がってきている方のウサギに集中させるためにも、という方針らしい。



手伝いとは言え、気の進まない作業。が、ある意味仕方ないのです。作業に取りかかってまず思ったのは、”じゃぁとりあえず抗体作っとこうか”みたいに、軽々しくやってはいけないってこと。我々の研究に尊い犠牲が払われている。それを改めて認識した。医療や製薬関係の研究の場では、こういったことはもっと日常的だろう。普段ドラッグストアで何気なく目にする医薬品の背景には、想像できない数の”それ”が存在するはず。


簡単に”可哀相”と言ってはいけない。少なくとも現代の人々の日常生活は多くの”それ”に支えられているのだから。でも、”可哀相”という感覚を忘れてはいけない。その重みを理解し、受け止めなければいけないから。



今日眠りについた名も無きウサギの冥福を祈りたいと思います。