白井先生最終講義

この3月で退官される発生学の先生。一昨日の最終講義に参加してきました。


この先生らしく、全体的になんだかまとまりの無い話のようにも思えましたが(笑)、結局言いたかったのは”ダーウィン進化論に異議を唱える”ってコトやったのかな?

ダーウィンの進化論で言われているのは主に”自然選択”あるいは”適者生存”だが、これに従わない例がイトマキヒトデやナマコにあることを示されていた。ナマコの養殖は大きさが揃わなくて困るとか、イトマキヒトデは同じバッチの個体群を同じ環境で育てても、成体になった数年後に身体の大きさに500倍も差がある場合があるとか。身体の大きな個体に比べて小さな個体は、生存に不利である場合が多いのに。もっとも、自然条件で育った場合は環境に合わせてどちらか一方に偏るのかもしれないが。


ダーウィンが発表した進化論は現在の考えの基盤となっているが、これで説明できない事象があることもわかってきている。例えば、多数の個体から成る集団の中で一個体のみが生存に有利な形態や能力を持って産まれたとしても、それがその集団の中にどう広がっていくか(変異の水平伝播)、どのようにして種としての進化につながっていくかは、この理論だけでは説明できない。


進化学の専門家ではないので、あまり突っ込んだ話をするとボロが出そうなのでこのへんで(笑)


分子生物学の手法が非常に発達した今現在でも、やはり古くからの技術を持った人は総じて視点が違います。こういうのが、素晴らしい研究へとつながっていくんでしょう。


学生のとき、白井先生の講義は水曜の午後だった。当時のオレにとっては、水曜の午後は弓道部の合同練習の時間。彼女の講義は必須科目ではなかったので、3年生だったこともあってオレは部活を選んだ。今から考えると講義受けといたら良かったかなぁと思う一方で、今回の話を面白いと思えたのはいろいろな知識が蓄積してきた今だからかも、とも思ってみたり。


それにしても、研究の話を本当に楽しそうにする人。退官を目の前にしてもまだまだ現役、みたいな。実際まだこれからも多少仕事をするみたいで、”ちょくちょく大学のあたりをうろつきます”とかなんとか。研究者たる者、いつまでもこうありたいもんです(^_^)